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【体温調節のための水分補給】ワンランクアップのポイント
2020.08.20(更新日2021.08.17)


 

気温が30℃を超える日も増えてきました。水分補給を意識的に行っていることと思います。

 

皆さんは何のために水分補給をしていますか?

水分補給の質を高めるためには、汗の役割についても十分理解しておく必要があります。気温が高いこれからの季節、運動をすれば大量に汗をかいて体内の水分を失ってしまいます。

 

では、なぜ、汗を大量にかくのでしょう?

それは、「体温調節」に深く関わっています。

 

ということで、今回は「体温調節のための」という視点で水分補給について考えてみましょう。

 

汗と体温調節

暑い中激しい運動をすると、吹き出すように流れる汗。冬場であっても強度の高い運動をすれば汗がにじみ出ますよね。

 

運動をすると、糖質や脂質からエネルギーを作り出す過程でも、筋肉を収縮させる過程でも熱が発生し、体温を上昇させます。

 

体内で発生した熱が発散されることなく、体内に溜まってしまうと、体温はどんどん上昇し、運動を続けられないどころか、死に至ってしまいます。

 

そうならないようにするために、私たちの体には熱を発散されるための機能が備わっています。

 

そのうちの一つで、最も大切なのが汗をかく(発汗作用)ということです。

 

有効発汗と無効発汗

汗が体温を下げるシステムを説明します。

 

体内の水分を汗として体の表面(皮膚上)にだし、その水分が蒸発するときに気化熱が奪われて、体温が下がります。

 

このように、体温を低下させることができた発汗を有効発汗と言います。汗がひいてす〜っと肌寒く感じるというような経験はありませんか?

 

これはまさに、体から熱が奪われた証拠です。

一方で、汗が流れ落ちてしまったり、湿度が高いせいで汗が蒸発しにくかったりすることで、体温の低下効果を得られない発汗を無効発汗と言います。

体温調節における汗、大切なポイントは2つ

◆体温の上昇を食い止められるように、汗をかき続けられるようにしておくこと

◆無効発汗が起きやすい環境下では、放熱のサポートをする工夫をすること

 

汗をかき続けられるようにするために

汗が止まる、もしくは汗の量が減るという経験をしたことはありますか?

 

体重の3%の脱水で汗は止まってしまうため、運動前後での体重減少を2%で抑える必要があります。

◆運動前後の体重減少を2%以内に止める(体重測定の習慣化)

◆こまめな水分補給

◆ナトリウムなどのミネラル補給(自発的脱水の予防)

運動前後での体重減少を2%で抑えるために、自分に必要な水分の量は何Lなのか。

 

体重の記録・飲んだ水分の量を記録し、比較しながら自分に必要な水分量の目安を把握しましょう。

 

放熱サポートの工夫

無効発汗が起きやすい環境、状況では、放熱をサポートするためのアクションが必要です。

5〜15℃に冷えたドリンク(状況に応じてスラリーアイスの活用なども検討)

◆速乾性ウエアの着用、着替え

◆冷えた濡れタオルやおしぼりを活用(汗を拭く、首の後ろや脇の下などを冷やす)

汗を拭き取ってしまうことは蒸発を妨げているのではないか?とも思われるかもしれませんが、大量の汗が蒸発もできず、体表面を冷やすこともできない状況は危険です。

 

冷たい濡れタオルの活用で、体表面を冷やすことができ体温の上昇を防ぐことにつながります。

 

まとめ

いかがでしたか?

水分補給とあわせて、汗の管理を行うことで体温調節をサポートし、パフォーマンスの低下を防ぎます。

 

設備が整ったチームや施設であれば、プレクーリングやアイスバスの活用などもあるかもしれませんが、施設や設備に頼らなくてもできることはあります。

 

来たる夏にむけて、水分補給プラスアルファにも取り組んでみてくださいね。

 

■関連記事はこちら

【運動時の脱水・熱中症予防】自由飲水の重要性と注意点

【水分補給における衛生管理】アスリートが気をつけたい3つのポイント!

 

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乳井 優生

2015年管理栄養士免許取得/株式会社東急スポーツオアシス/2016年株式会社イースウェア(料理教室主催、スポーツ栄養講習、栄養相談など)/2017年市立砺波総合病院(公認スポーツ栄養士養成課程受講開始)/2019年10月公認スポーツ栄養士登録/2020年〜フリーランスとして活動。レシピ執筆、記事監修、コラム執筆、スポーツ栄養講習、スポーツ栄養マネジメント、カウンセリングなどを行う。

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