「運動パフォーマンスUPが期待される食品」
と聞くと、何を思い浮かべますか?
近年、海外では「ビーツ」の効果が注目されており、多くのスポーツ選手が、パフォーマンス向上を目的とし、ビーツを利用しています。
ビーツとは、ロシアの伝統料理であるボルシチなどに使用されている赤カブで、写真の様な鮮やかな色をしており、海外のスーパーではよく見かける食材の1つです。
今回は海外でアスリートが「ビーツ」に注目する理由をご紹介します。
是非、参考にしてみてくださいね!
エビデンス(科学的根拠)
まず始めに、ビーツのパフォーマンス向上に関するエビデンス(科学的根拠)が出ているのかを確認してみましょう!
◆世界最大のスポーツ科学拠点である
オーストラリアスポーツ研究所(AIS)
(Australian Institute of Sports)
ビーツについて、「エビデンスがあるため、スポーツ選手への使用を推奨する」としています。
◆IOCのコンセンサス(2018)
ビーツに含有される硝酸塩(nitrates, NO3)の摂取は、トレーニング量の多いスポーツ選手にとって、有効であることを報告しています。
それでは、なぜ、ビーツの効果に注目が集まっているのでしょうか?
ビーツが注目される3つの理由
1. 硝酸塩による血流促進効果
食品由来の硝酸塩は、ビーツを初め、ほうれん草、青梗菜、大根、ごぼう、白菜などの野菜に含まれています。
この硝酸塩は、体内でバクテリアなどのはたらきにより、一酸化窒素(nitric oxide, NO)の生成を促します。
一酸化窒素には、血管を拡張させ、血流を良くする効果があります。
そのため、より多くの酸素や栄養素を全身に運ぶ必要があるスポーツ選手は、持久力や筋パワーの向上を目的とし、ビーツ(ジュースなど)を使用してきました。
しかし、これらの作用メカニズムについては、まだ明らかでない点も多く、更なる検討が必要とされています。
2. 抗酸化力
高い抗酸化作用をもつベタシアニン(ポリフェノールの一種)は、ビーツの赤い色素の正体です。
これが、体内で発生する活性酸素(体をサビさせる物質)を上手く軽減し、体内の抗酸化能(サビ止め)を高めることで、疲労軽減や免疫力向上効果などが期待できます。
3. 高い栄養価
「飲む輸血」と呼ばれるほどに、ビーツには、カリウム、葉酸、ビタミンC、鉄など、スポーツ選手が普段から積極的に摂取したい栄養素が含まれています。
そのため、
食事では補給しきれない「微量な栄養素」を補うことができます。
一般の方と比べ、必要な栄養素量が多いスポーツ選手は、このように、少量で多くの栄養素を摂取できる「栄養素密度の高い食品」を利用することで、不足している栄養素を補うことができます。
まとめ
ビーツは、血流を良くする効果と抗酸化力に加え、栄養素密度が高い食品であるため、複数の成分による複合的な効果を期待することができます。
また、食品による成分摂取であるため、サプリメントのように、過剰摂取に繋がるリスクは低いというメリットもあります。
以上
海外のスポーツ現場で今話題となっている食情報をお伝えしました!
<ビーツに関する最新情報 >
・サプリメントに関するIOCのコンセンサス・ステートメント
Maughan RJ et al., IOC consensus statement: dietary supplements and the high-performance athlete, Br J Sports Med., 2018
・ビーツと持久系運動に関する研究【Review】
Domínguez et al., Effects of Beetroot Juice Supplementation on Cardiorespiratory Endurance in Athletes., A Systematic Review, Nutrients, 2017
・ビーツと高強度運動に関する研究【Review】
Domínguez et al., Effects of beetroot juice supplementation on intermittent high-intensity exercise efforts, J Int Soc Sports Nutr., 2018
・オーストラリアスポーツ研究所
(Australian Institute of Sports: AIS)HP<https://www.ausport.gov.au/ais/nutrition/supplements>