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【実際のプレー動作との関係を解説】FMSオーバーヘッドディープスクワット

 

今回は、このトッテナムの動画内3:50秒から出てくるFMS(ファンクショナルムーブメントスクリーニング)の項目の一つであるオーバーヘッドディープスクワットについて掘り下げて解説していきます。

 

その前にFMSとは?

その前にFMSについて少し触れていきます。FMSとは7つの動作を通して、身体の安定性や可動性、そして対称性などの身体のファンクショナルな部分を評価する方法です。1)

 

測定項目は以下の7つになります。

1.Overhead Deep Squat

2.Rotary Stability

3.In-Line Lunge

4.Hurdle Step

5.Trunk Stability Push Up

6.Schouder Mobility Reaching

7.Active Straight Leg Raise

 

評価法としては、それぞれの動作で、0~3点までの4段階で決められます。それぞれの点数は、次のような基準で決められます。

0点:動かすと痛みがある

1点:動作を行えない

2点:動作は行えるが、代償動作である

3点:動作を完全に行える

 

これら7つの項目の合計点を割り出しその選手のファンクショナルな評価をしていきます。多くのプロサッカーチームでもプレシーズンの初めにこの測定法を使っている印象があります。

 

このFMSの中で特に重要な項目と言われているのがオーバーヘッドディープスクワットです。このスコアの良し悪しが全体のスコアの良し悪しを大体予測できるともされています。1)

 

オーバーヘッドスクワットの方法

参照「Tottenham Hotspur」youtube

実際のオーバーヘッドディープスクワットのやり方としては、写真のように立ってもらい手は万歳して棒などを両手で持ちます。

参照「Tottenham Hotspur」youtube

そして、この立位姿勢から握っている棒が体より前へ出ないようにしゃがんでいきます。

 

(この動画や写真ではディープスクワットではなくハーフスクワットですがこの記事ではディープスクワットについて書いています。

 

オーバーヘッドスクワットが大切な理由

この動作では、主に以下の4つの要素が影響してきます。

◆足関節の背屈

◆股関節の屈曲 (捉えの精度)

◆胸椎の伸展

◆全身の動作パターン

これらの要素がどこかで制限されてしまうとオーバーヘッドスクワットがうまく行う事ができません。

 

つまり、オーバーヘッドスクワットのテストをする事で、この4つの要素を同時にテストする事ができるという事です。

 

実際のプレーへの影響

以上の4つの要素が実際にどのようにスポーツのプレーに影響出てくるのでしょうか。

足関節の背屈制限

足関節の背屈制限では、スクワットのように膝を曲げて重心を下げる際にそれを代償するためにつま先を少し外側に開くようにして、体を動かします。

 

このような代償動作はトーアウトと呼ばれ、膝への負担が大きい動きとして知られていて、実際に前十字靭帯損傷のような膝への怪我のリスクが増える可能性があります。2)3)

 

また、このトーアウトの代償は土踏まずを潰すような動きを助長させてしまうため、長期的にこのような代償を続けると足底でしっかりと体を支えられなくなってしまいます

 

そして最終的に足で立つ事自体不安定になりスポーツパフォーマンスが下がることになります。

股関節の屈曲と胸椎の伸展

股関節の屈曲 (捉えの精度) は胸椎の伸展の可動域制限に依存傾向があると個人的には考えているため、ここではこの2つを同時に話していきます。

 

胸椎の伸展の可動域が低下してしまうと、スクワットのように重心を下げたときに重心を拇趾球あたりに保つ事ができず、踵重心になってしまいます

 

また、この重心を前に保とうとすると膝を前に出して代償します。その結果、股関節をうまく使ったスクワットができず股関節の捉えが消えてしまいます

 

股関節の捉えがうまくでいていない状態でのプレーは、お尻が使えず、腿の前(大腿四頭筋)ばっかりを使ってステップや走る動作をしてしまうため動きが遅くなりスポーツパフォーマンが下がり、怪我のリスクも上げてしまいます。

全身の動作パターン

全身の動作パターンとは、上記で述べた3つの要素がしっかりと連動して動かせているかどうかということです。

 

この3つの動作の中でも個人的には胸椎の伸展の可動域が連動には一番大切だと思っています。まずこの胸椎の伸展可動域がないと、股関節の捉えの精度も低くなりますし、足関節の背屈制限も生じてきて、結果として全体の連動が悪くなります。

 

まとめ

オーバーヘッドスクワットでは、以上のような4つ要素が含まれていて、この要素は体を効率的に動かすために非常に重要な要素であるため、結果としてFMSでいうところの他の6つのテストの結果にも影響する事が考えられます。

 

この4つの要素を鍛えていくためには、よく知られている練習法として、ヨガであったり、胴体力などがあります。他のさまざまな練習法もありますし、自分にあった練習法を見つけて、オーバーヘッドスクワットがうまくできるようになり、パフォーマンスの向上・怪我の予防に繋げてみてください。

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

 

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<参考文献>

1)スポーツパフォーマンス研究, 8, 343-360, 2016 ファンクショナルムーブメントスクリーン(FMS)による基礎的動作の質的評価と運動能力の関係:小学生を対象として細川賢司 池坊短期大学

2)Clifton DR, Grooms DR, Onate JA. OVERHEAD DEEP SQUAT PERFORMANCE PREDICTS FUNCTIONAL MOVEMENT SCREEN™ SCORE. Int J Sports Phys Ther. 2015 Oct;10(5):622-7. PMID: 26491612; PMCID: PMC4595915.

3)Teng PSP, Kong PW, Leong KF. Effects of foot rotation positions on knee valgus during single-leg drop landing: Implications for ACL injury risk reduction. Knee. 2017 Jun;24(3):547-554. doi: 10.1016/j.knee.2017.01.014. Epub 2017 Mar 20. PMID: 28336150.

4)Dill KE, Begalle RL, Frank BS, Zinder SM, Padua DA. Altered knee and ankle kinematics during squatting in those with limited weight-bearing-lunge ankle-dorsiflexion range of motion. J Athl Train. 2014 Nov-Dec;49(6):723-32. doi: 10.4085/1062-6050-49.3.29. PMID: 25144599; PMCID: PMC4264643.

 

 

 

※今回ご紹介した動画は「Tottenham Hotspur」様の貴重なyoutube作品です。

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桑原秀和
2014年からオランダに渡り、フリーランスとして治療院を開業。その傍ら理学療法士として、リーグ4部のアマチュアサッカーチームやプロサッカーチームのユースチーム、オランダ柔道ナショナルチームに携わる。2019年よりサッカーベルギー1部リーグ「シントトロイデン」からオファーをもらい、メインの活動の場をベルギーへ移す。
桑原秀和

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