今回はサッカー日本代表のある選手が練習前のウォーミングアップとして行っているエクササイズについて解説していきます。
今回のエクササイズは、肩甲骨の可動性を上げるためのエクササイズになります。動画を見ていただくとわかりますが、ベッド上でセラピストが肩甲骨を固定して選手が立てた膝を左右に回して体を捻るような運動をしていきます。
イメージがつきやすいように先にこのエクササイズのやり方を写真を使ってお伝えします。
エクササイズの方法
下の写真のように選手は、両手を上に上げ膝を約90° 立てます。そして、セラピストは脇の下に手を当て肩甲骨を固定します。

参照「JFATV」youtube
そして、選手は下の写真のように両膝を左右に倒していきます。
左に倒す

参照「JFATV」youtube
右に倒す

参照「JFATV」youtube
エクササイズの効果とポイント
このエクササイズの効果としては、主に上肢の最終屈曲(腕を最大限あげたところ)の可動域と胸郭の柔軟性の向上が挙げられます。
上肢の最終屈曲可動域には、肩甲骨の上方回旋と内転、下制の動きがとても大切になります。そして、このエクササイズでは、これらの肩甲骨の動きの改善につながります。肩甲骨の動きについては以下に説明します。
肩甲骨の動きについて
肩甲骨の動きは運動学的にいうと、挙上、下制、内転、外転、上方回旋、下方回旋の6つになります。
以下図は右の肩甲骨の動きになります。
また、上肢の最終屈曲可動域には胸郭の伸展(胸を反る動き)と関連していることもあり、上肢の最終屈曲可動域が上がることで胸郭の伸展可動域も向上していきます。胸郭の伸展の可動域が向上することで、不良姿勢である猫背を改善できるだけでなく、深部の腸腰筋が使われやすい体を獲得できることになります。また、腰を痛めやすい人で、胸郭の伸展可動域向上させることで腰痛を改善することもできる可能性があります。
さらにこのエクササイズでは、上半身を捻る動きをしているため胸郭の回旋の動きの向上にも効果的です。胸郭の回旋の動きは主に、四肢を使うときの筋出力の増加に関与していきます。野球であれば、投球動作やバッティング動作、サッカーであればキックの動作などのパワーの改善につながります。
また、肩甲骨の柔軟性と胸郭の柔軟性が上がることにより、呼吸機能の向上や腹圧の向上につながります。呼吸機能の向上につながる理由として、胸郭周りの大きい筋肉が緊張していない状態で胸郭の動きが十分にある場合に呼吸がしやすくなるためです。そして、横隔膜がより動くようになり、腹圧も向上していきます。
肩甲骨についての記事
このエクササイズのポイントとしては、上肢を上まで最大に上げて膝を立てた状態で、できる限りリラックスすることです。そして、リラックスしている状態をキープしながら膝を左右に倒していきます。左右に膝が倒れるときにお腹の深部がストレッチされていることを感じ取ることができればベストです。
まとめ
今回は、日本代表の選手が行っているウォーミングアップ時の一つのエクササイズについて紹介してきました。
このエクササイズは、ベッド上で仰向けになり両手を最大限上げ、膝を立てた状態で、セラピストに肩甲骨を固定してもらい、膝を左右に倒していく動きです。そして、このエクササイズの効果として、上肢の最終屈曲の可動域と胸郭の柔軟性の向上が考えられます。さらに、それらの動きが向上することにより、呼吸機能と腹圧の向上が期待できます。
エクササイズのポイントとしては、なるべくリラックスしながら行い、お腹の深部がストレッチされるのを感じることが大切になります。
是非みなさんも参考にしてみてください。
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※今回ご紹介した記事は「JFATV」様の貴重なyoutube作品です。