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【リカバリーの質を高めよう!】海外のジムに学ぶ運動後の栄養補給!
2018.11.06(更新日2021.06.09)

 

海外のトレーニングジムに行くと、ジム内に補食が摂れるリカバリーブースが設けられていることが多いです。

 

このブースには、プロテイン、エネルギードリンク、フルーツ(バナナなど)などが準備されており、手軽に栄養補給ができるようになっています

 

今回はこのような海外のトレーニングジムの取り組みからわかる、運動後の栄養補給のポイントについて見ていきましょう!

 

◆運動後の栄養補給3つのポイント

「何を・What」

「どのタイミングで・When」

「どれだけ・How much」

 

運動後の栄養補給のポイントは3つありますが、今回は以下の2つのポイントに絞ってお伝えします。

「何を・What」

「どのタイミングで・When」

 

(1)何を
What do you eat?

運動後の栄養補給は、今やリカバリーの常識ともなっています。

それでは、リカバリーを最も促す栄養素という視点では、次のどれが最適でしょうか?

 

① たんぱく質中心

(プロテイン、アミノ酸、卵、ささみなど)

② 糖質中心

(エネルギーゼリー、ドリンク、ジェル、オレンジジュースなど)

③ たんぱく質+糖質

(①②の組み合わせ、鮭・たらこなどのおにぎり、サンドイッチなど)

 

正解は③です。

運動後には、たんぱく質と糖質を組み合わせて摂取することで、リカバリー効果が高められることが明らかとなっています。

 

糖質を摂取すると、運動時のエネルギー源となるグリコーゲンが合成されます。

このグリコーゲンの合成は、糖質単体よりもたんぱく質と一緒に摂ることで、促されると報告されています。

また、糖質摂取によるインスリンの分泌により、筋たんぱく質の合成が促がされ、分解が抑制されることが明らかにされています。

 

つまり、たんぱく質と糖質を同時に摂ることで、それぞれの代謝が高められ、相乗効果が働くと言えます。

 

(2)タイミング
When do you eat?

糖質・たんぱく質のいずれにしても、運動後すぐに補給することが重要です。

それを裏付けるエビデンスが報告されています。

 

エビデンス(科学的根拠)

◆たんぱく質
筋力トレーニング後、できるだけ早く摂取すると、たんぱく質合成が高まる。

◆糖質
運動終了後できるだけ早く(遅くとも2時間以内に)補給すると、筋グリコーゲンの回復が促される。

 

つまり、同じ栄養素であっても摂るタイミングによって、その効果が異なるため、運動直後というゴールデンタイムを逃さないようにしたいですね。

 

まとめ

海外のトレーニングジムでの取り組みは、上記の理論に基づいており、運動直後にたんぱく質と糖質を組み合わせて補給する工夫であると言えると思います。

 

スポーツ現場においては、鮭おにぎりや糖質の入ったプロテインを片手に、運動後のリカバリー(ストレッチなど)を行っているアスリートもいるのではないでしょうか。

 

これは、スポーツ栄養学に基づいたコンディショニングを実践していると言えます。

 

最後に・・・

栄養補給の方法は、個人の目的やトレーニング環境に合わせることが基本となります。

理論だけでなく、自分にとって最適なリカバリー方法を模索するというプロセスも大切ですね。

 

河村

次回は今回ご紹介できなかった3つ目のポイント「どれだけ・How much」についてご紹介したいと思います。

 

 

<参考文献>

International Olympic Committee, Nutrition for Athletes., 2012

Churchward-Venne, Nutritional regulation of muscle protein synthesis with resistance exercise: strategies to enhance anabolism., Nutr. Metab. 9:40, 2012.

Zawadzki KM et al., Carbohydrate-protein complex increases the rate of muscle glycogen storage after exercise., J Appl Physiol 72(5):1854-9, 1992.

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河村亜希

・管理栄養士・公認スポーツ栄養士・IOC Diploma in Sports Nutrition・オーストラリア国立スポーツセンター(AIS)アシスタントスタッフ(2016年~)・全日本スキー連盟ハイパフォーマンスサポートスタッフ(2016~2018年)・日本バレーボール協会 医科学スタッフ(2017~2021年)・日本スケート連盟フィギュアスケート部医科学スタッフ(2020年~現在)などの日本代表チームに対する栄養サポート経験等を経て、現在は大学で研究活動にも取り組んでいる。

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