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【免疫力を高めよう!】科学的根拠に基づいた栄養素の紹介
2020.07.08(更新日2021.05.10)

ウイルスに感染しないためには、免疫力を高めることが重要となります。

 

今回は免疫力を高めるための栄養素の摂取方法について、科学的根拠(エビデンス)[1, 2]に基づいてお伝えしたいと思います。

 

特に、スポーツ選手においては、激しい運動に伴う免疫機能の低下により、上気道感染のリスクが高くなることが報告されています[3, 4]。

 

そのため、ウィズ・ポスト コロナにおいても免疫機能を維持するための対策が必要となるでしょう。

 

今回は、特に重要な栄養素を厳選して、ビタミン、ミネラル、その他、免疫機能の維持に効果が期待できる栄養素をご紹介いたします!

 

免疫機能の維持に効果が期待できる栄養素

ビタミンA

脂溶性ビタミン。ウイルスから身体を守るために、粘膜(鼻、目、口など)を強くする。

動物性食品:レバー、卵など

植物性食品:緑黄色野菜、など

◆ビタミンAのはたらきについて詳しく知りたい方はこちら

>>【ストレスから選手の体を守る】抗酸化成分の摂り方〜カロテノイド編〜

ビタミンD

脂溶性ビタミン。皮膚が日光に当たることで体内合成される。

多くの組織で遺伝子転写の調整に関わるため、不足/欠乏は身体に影響を与える。

多くのアスリートにおいて不足のリスクがあると報告されている。

動物性食品:魚(鮭、さんま、いわしなど)、卵黄、レバーなど

植物性食品:きのこ類(きくらげ、干ししいたけ、など)

◆ビタミンDのはたらきについて詳しく知りたい方はこちら

>>【海外でも話題のビタミン!?】ビタミンD摂取に期待できる効果

>>海外でも話題のビタミン!?ビタミンD摂取の上手な摂取方法

ビタミンE

脂溶性ビタミン。強力な抗酸化成分であり、運動誘発性活性酸素を抑制する。

宿主の免疫能の調節にも関わる。

動物性食品:卵、魚(まぐろ、鮭など)

植物性食品:小麦胚芽、種実類(ヒマワリの種、アーモンド、ピーナッツなど)

ビタミンC

水溶性ビタミン。抗酸化成分であり、ビタミンEと相補的に作用する。ホルモン産生やコラーゲン合成にも関わる。

動物性食品:レバー、カキなど

植物性食品:かんきつ類(キウイ、オレンジ、イチゴ、レモン、パイナップルなど)、緑黄色野菜(ブロッコリー、トマトなど)

◆ビタミンEとCについて詳しく知りたい方はこちら

>>【ストレスから選手の体を守る】抗酸化成分の摂り方〜ビタミン編〜

※上記のコラムでは、ビタミンCとEについては、たくさん摂りすぎると、運動により得られた良い効果を軽減してしまう恐れがあるとお伝えしておりました。
そのため、目的は「免疫対策」なのか、「運動パフォーマンスUP」なのかはっきりさせた上で使用すると良いでしょう。活動レベルが高い人の免疫対策においては、予防ではなく「治療」を目的とした場合に、高用量の摂取も有効である可能性が示唆されている[5]。

 

ミネラル

亜 鉛

欠乏すると、ウイルス感染しやすくなる可能性が指摘されている。

アスリートにおける亜鉛欠乏は珍しくない。

動物性食品:カキ、牛肉、豚肉、鶏肉など

植物性食品:豆類(カシューナッツ、かぼちゃの種、アーモンド、えんどう豆など)

マグネシウム

免疫グロブリン合成などの免疫機能の制御において、重要な役割を果たす。

動物性食品:鮭、鶏肉、牛肉など

植物性食品:緑黄色野菜、種実類、全粒穀物など

※補足

その他のミネラルでは、セレンや銅でポジティブな効果があるだろうとされている。

 

その他

プロバイオティクス

腸で良いはたらきをする善玉菌の総称。

腸の健康と免疫には密接な関係がある。アスリートにおいても、胃腸障害や感染症を軽減するための有効性が報告されている。

動物性食品: ヨーグルト、チーズなど

植物性食品: 納豆、味噌、キムチ、ぬか漬けなどの発酵食品

◆プロバイオティクスについて詳しく知りたい方はこちら

>>【腸からコンディショニング】シンバイオティクスを取り入れた食事のすすめ

オメガ3脂肪酸

魚油などに豊富に含まれる。運動後に抗炎症効果を発揮する。筋損傷の軽減や回復促進に役立つとされている。

動物性食品:魚(とくに青魚、鮭など)、魚油、えごま油、亜麻仁油など

植物性食品:くるみなど

◆オメガ3脂肪酸について詳しく知りたい方はこちら

>>【アスリートに良い油!?】脂質を上手く利用するコンディショニング!

 

まとめ

免疫機能の維持に効果が期待できる栄養素として紹介しましたが、これらの栄養素を補給しようとすると、必然的に「バランスの良い食事」に近づきますね。

 

河村

免疫強化栄養素 + バランスの良い食事でウイルスから身体を守りましょう!

 

参考文献
スポーツ現場でのサプリメント摂取における国際的な見解(IOCコンセンサス)
[1] Maughan RJ, Burke LM, Dvorak J, Larson-Meyer DE, Peeling P, Phillips SM, et al. IOC consensus statement: dietary supplements and the high-performance athlete. British journal of sports medicine 2018;52:439-55.
新型コロナウイルス感染症を含めたウイルス対策のための免疫強化(2020年最新の栄養に関する総説)
[2] Jayawardena R, Sooriyaarachchi P, Chourdakis M, Jeewandara C, Ranasinghe P. Enhancing immunity in viral infections, with special emphasis on COVID-19: A review. Diabetes & Metabolic Syndrome: Clinical Research & Reviews 2020;14:367-82.
免疫に関わる文献
[3] Pedersen BK, Rohde T, Ostrowski K. Recovery of the immune system after exercise. Acta Physiologica Scandinavica 1998;162:325-32.
[4] Nieman DC. Exercise, upper respiratory tract infection, and the immune system. Medicine & Science in Sports & Exercise 1994;26:128-39.
[5] Hemilä H, Chalker E. Vitamin C for preventing and treating the common cold. The Cochrane database of systematic reviews 2013:CD000980.

 

■関連記事

【バランスの良い食事に期待される効果 】栄養素のチームプレーに着目

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河村亜希

・管理栄養士・公認スポーツ栄養士・IOC Diploma in Sports Nutrition・オーストラリア国立スポーツセンター(AIS)アシスタントスタッフ(2016年~)・全日本スキー連盟ハイパフォーマンスサポートスタッフ(2016~2018年)・日本バレーボール協会 医科学スタッフ(2017~2021年)・日本スケート連盟フィギュアスケート部医科学スタッフ(2020年~現在)などの日本代表チームに対する栄養サポート経験等を経て、現在は大学で研究活動にも取り組んでいる。

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