「アスリートは食べるのも仕事」と言われるほど、食べる能力はアスリートに求められる能力の1つでもあります。
一方で、スポーツの現場では「食べたいけど食べられない」と悩んでいる選手や親御さん、指導者も多いのではないでしょうか?
「食べたくない」よりも、「食べたいけど食べられない」この状況が選手としては一番辛い状況だと思います。
向上したい意欲はあるものの、食べる能力がついて来ず、時に指導者や周りから「もっと食べなさい」という指導を受けることもあります。頑張って食べたいのに・・・
そこで、今回は「食べられない」悩みに対して、食べる量を増やすこと以外の側面から考えてみたいと思います。
食べろと言われる選手と食べるなと言われる選手
私が高校時代に経験したことですが、ドンブリ飯3杯食べろと言われる選手がいる一方で、数名の選手は「食べるな」と言われていました。その理由は、食べた量がすぐに体に現れ、動きのキレがなくなるからでした。
片方は、食べる量を制限されていて、それでも体づくりができる。片方は、吐きそうなくらい食べさせられ、それでも体づくりが進まない。そんな2つのタイプの選手が混在していました。
体が大きくなるメカニズム
体が大きくなるには体の中で筋肉の修復をしたり、体づくりを行うための材料となる栄養素が「体内」に必要です。
栄養素を体内に取り込むには、必要な栄養素が含まれている食事を口から食べて、胃や腸など消化器官の働きにより、栄養素を腸から吸収できるレベルまで細かく分解していく必要があります。
口から入った食べ物は、消化過程を経て、小さな分子に消化されて初めて栄養素として体内に取り込まれます。ここでやっと体の材料として栄養素が機能します。
食べる量は多いのに体内の栄養素が少ない
冒頭でご紹介した、食べる量を制限されている選手は、食べたものを体内に取り込むまでの消化能力が優れているため、食べたものをしっかりと栄養素として吸収して体内で活かすことができます。
一方で、食べたいのに食べられない選手は、消化能力が弱いため、食べたものをうまく消化できないので、お腹が空かない、満腹状態が続くなど、食べられない状態となる。無理やり大量の食事をしても、栄養素を消化吸収できていないので、体内で使える栄養素量が少なく、体づくりに活かすことができません。
つまり、食べられない選手は、消化能力に課題がある可能性があります。
食べる能力がトレーニング量に追いつかない
しかし、消化能力に課題があるとは言え、消化能力は体質的要因も多いため短期間のうちに高めることが難しいのも現実です。
さらに、小学生や中学、高校の選手の中には、まだまだ消化器官が成長していない段階で、食べれる能力に見合わないトレーニング量をこなしているケースが多く、毎日の練習の後には、待った無しで、無理な食事量をしいられるほど栄養素を求められるケースが多く存在しています。
ハードなトレーニングをしている選手は、エネルギー源や疲労回復源、成長源としての栄養素を、練習量に見合った分だけ摂る必要がでてくるからです。
だからと言って、「食べたいのに食べられない」問題を、根性論でどうにかしようとするのではなく、消化能力に目を向けて、消化能力をサポートするような対策を行なっていくことが大切です。
食べられない時の対策
そのためには、食事からしっかりと栄養素を吸収できるように「消化」を意識した食事を実施していく必要があります。
同じ食事量でも、消化負担を軽減させた食事であれば、消化作業もスムーズに進み、栄養の吸収だけでなく、自然と食べれる量も変わってきます。
消化を意識した食事について
具体的にどのように消化を意識した消化負担の少ない食事を実践していけば良いか?これについては、こちらの記事を参考にしてみてください。
「食べられない」という悩みに対して、消化吸収面からのアプローチもあるよ。ということを知っていただく機会になれば嬉しいです。また、同時に、食事を通じて消化能力(食べる能力)を高める取り組みにも繋がってくると思います。
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