前回のドウグラスのステップ台からのスクワットに引き続き、今回はドウグラスの上半身を連動させたヒップヒンジのエクササイズについて解説していきます。
前回の記事では、『ドウグラス選手の課題としては、動作中に爪先まで重心をしっかりと乗せること、そして、胸椎の伸展の可動域をしっかりと出すことの2つの課題がある』ことをお伝えしてきました。
前回のドウグラスのステップ台からのスクワットの記事
【エクササイズの意図を掴もう!】ドウグラス選手のステップ台からのスクワット
今回の上半身を連動させたヒップヒンジのエクササイズでも、この2つの課題を意識しながら、股関節をうまく使えるようにするためのヒップヒンジのエクササイズになります。
ヒップヒンジとは?
ヒップヒンジとは、股関節の付け根から折り曲げるような動きのことを指します。そして、語源としてはドアの蝶番の部分の動きから例えられ、英語で【蝶番=ヒンジ】ということから、ヒップヒンジと言われています。
ヒップヒンジの動きが正しくできることは、一般的にお尻の筋肉をしっかりと使うために大切な動作であると認識されています。そのため、スクワットやランジなどのエクササイズや階段の登り動作や走りの動作で、太腿の前ばかり疲れてお尻の筋肉が使われない人は、ヒップヒンジの動きを練習することで、動作中にお尻の筋肉を使えるようにするために役に立ちます。
今回紹介する上半身を連動させたヒップヒンジのエクササイズでは、股関節だけを意識して行うのではなく、上半身の使い方にも意識を向けなければならないので、難易度は高くなります。
難易度が高くなる代わりに、上半身との連動を生むことで、お尻の筋肉(大臀筋など)だけでなく、体幹の深部の筋肉(腸腰筋、腹横筋など)や脇腹・背中の筋肉(前鋸筋、広背筋など)を同時に刺激することができます。
それでは、実際のエクササイズのやり方を紹介していきます。
トレーニングの方法
まずは、下の写真のように両手でボールを前方に持ち、立ちます。(このエクササイズでは、大きめのボールを持っていますが、他のものでも代用することも可能です。)

参照「1x1SPORT.com」youtube
ボールを持つときは、脇をしめることを意識します。

参照「1x1SPORT.com」youtube
そして、その立位の姿勢から、下の写真の姿勢になるまで、ヒップヒンジの動きをしていきます。ボールの位置は、始めの立位姿勢の時のボールの位置と変えずに行うことで、上肢が上がり、胸が開く姿勢になります。

参照「1x1SPORT.com」youtube
3つのポイント
このエクササイズのポイントを3つ紹介していきます。
1)重心が常に母指球に乗せておく
このエクササイズ中の重心を常に母指球に乗せてます。ヒップヒンジを行っていくと、お尻が後方に移動するため、重心も同時に後方に移動しやすくなってしまうため、意識的に母指球に重心をキープします。重心が後方に移動してしまうと、股関節周りの筋肉で特に内転筋が意識しずらくなってしまい、ヒップヒンジが正しくできません。
内転筋について書いた記事
2)腰を反らずに胸を開く
ヒップヒンジをしていくにつれて、上肢が上がっていきますが、この時に腰を反らずに胸を広げていくことを意識します。腰を反りすぎてしまうと、腰痛の元となったり、股関節の周りの筋肉を硬くしてしまうことにつながります。この動きがうまくできていると、鳩尾の部分が伸ばされるような感覚を持つことができます。
3)肩を下げて脇をしめる
肩を下げて脇をしめることで、上半身と股関節を連動させることができます。肩を下げて脇をしめることがしっかりとできていると、広背筋というお尻の筋肉までつながっている筋肉が使われ、このつながりにより上半身と股関節を連動が生まれます。また、この連動が生まれることで、腰を反りすぎずに胸を開きやすくすることにもつながります。
広背筋の連動について書いた記事
以上の3つのポイントを意識して行ってみてください。
まとめ
今回は、ドウグラスの上半身を連動させたヒップヒンジのエクササイズについて解説してきました。
このエクササイズでは、3つのポイントを抑えることでヒップヒンジだけでなく股関節と上肢との連動も作ることが可能になり、スポーツパフォーマンスの向上に役立ちます。
是非、参考にしてみてください。
※今回ご紹介した動画は「1x1SPORT.com」様の貴重な作品です。